マンションを購入にするか賃貸にするかの判断材料

2018年11月9日公開

マンションを購入にするか賃貸にするかの判断材料

マンションの購入を検討しましたが、不動産会社の人に聞いても賃貸に対してどの程度リスク・リワードがあるかはっきり答えられることはないので、自分の判断材料のため調べました。この記事はそのときの記録をまとめたものです。ここでの計算は東京都 23 区内で一般的な新築マンションを購入したときのものです。他の地域や別タイプの物件を購入するときにも適宜数値を変更して計算してください。

マンション価格の内訳

マンション価格は土地価格と建物価格に分けるのが一般的ですが、今回は賃貸との比較を行いたいためマンションの価格変化をより忠実に表現すべく、耐用年数ごとに価格を分解します。(消費税に関しては売却時に免除されるため長期的に償却されると考えられるので計算から除外しています。)
  • 40% が土地価格
    • 一般的なマンションでは 40% 程度、タワーマンションでは 30% 程度です。土地価格の高い地域では容積率が高まるため大きな違いはないようです。
  • 35% が建物価格(耐用年数 60 年)
    • 近年の都内のマンションは耐用年数が伸びており三世代(75 年〜 90 年間)大規模改修不要とされています(参考)が、ここでは短めに見積もって 60 年としています。
  • 10% が内装価格(耐用年数 30 年)
    • フルリフォームして内装を完全に新しいものにしたときの価格です。
  • 15% が新築プレミアム価格(新築時のみ)
    • 都心部では 15% 程度、郊外では 20% 程度と言われています。
まとめると、新築購入時に 15 %の減価、それ以降は 0.9 %/年の減価が起きていると考えられます。

諸経費およびランニングコスト

諸経費

諸経費(登記料等)は新築物件だと 3% 〜 7% と言われており、中古物件では 6% 〜 10% と言われています(参考)。ここでは 4% とします。

ランニングコスト

  • 管理費・修繕積立金が約 0.35 %/年
  • 固定資産税・都市計画税が約 0.2 %/年

住宅ローン

  • 住宅ローン減税が最大 10 年間で平均 -0.85 %/年
    • 返済残額に対して最大 1 %/年であり、35 年ローンを使った場合でも最大 8.5 %/年までしか減額は受けられません
  • 住宅ローン金利が現在は変動金利は 0.5 %/年程度、固定金利は 1.0 %/年程度
    • 返済が進むにつれて新築価格に対する割合は下がります。
  • 団体信用生命保険が現在は約 0.3 %/年(これは生命保険を付加的にかけているのと同様であるので計算には含みません)

まとめ

2017 年 4 月に行われた不動産投資家調査では現在都内では住居の表面利回りは 4.5 %/年程度(城南エリア・ワンルームタイプ・2017 年 4 月時点・期待利回り)とされています。新築価格には新築プレミアムが含まれているため、新築価格に対して 3.8 %/年程度と考えます。
新築の場合は、
  • 初期費用(新築プレミアムおよび諸経費)のために 19 %の減価
  • 以降は建物減価およびランニングコストのために 1.45 %/年の減価
  • 住宅ローン金利のために 0.5 %/年の減価
  • 住宅ローン減税を受ける場合は 10 年間で 5 %の金利を払う必要がある一方で、最大 8.5 %の減税を受けられる
となり、
  • ローンを借りない場合は 8 年以上、
  • ローンを借り、住宅ローン減税を最大限受ける場合は 7 年以上、
  • ローンを借り、住宅ローン減税を受けない場合は 11 年以上、
長く住む場合に有利になります。
物件の購入は、土地・建物価格の変動リスクや地震等の災害リスクがありますが、住宅ローン金利が十分に低い状況であるので 10 年以上持ち続ける想定であれば有利であると考えられます。

付録(注意事項)

  • 住宅ローン減税は内法 50 平米以上の部屋にのみ適用されるため、都内で一人暮らしで使うのは難しいと考えられます。
  • 住宅ローン減税は最大 40 万円/年ですが、夫婦で借入額を折半することにより最大 80 万円/年の還付を受けられます。
  • 住宅ローン減税は税額が 50 万円以上である必要があり、育休等で収入が低くなった場合に還付が受けられません。また十分に高いですが所得制限もあります。