文章のAIっぽさを抑えるプロンプト

2026年10月30日公開

文章のAIっぽさを抑えるプロンプト

最近の大規模言語モデル(LLM)を使っていると、コーディング能力が高まる一方で、文章の流暢さは失われていると感じます。短い説明でも細かく見出しを付けたり、具体例の後に同じ結論を言い直したりして、個々の文は読めても説明の流れが途切れることがあります。
その一方で、指示に沿って文章を直す能力の向上も感じています。このサイトでも記事の推敲にプロンプトを使っているので、その内容を紹介します。

このサイトで使っているプロンプト

日本語の推敲ルールは、humanizer.ja.txtにまとめています。直したい文章と一緒に、次のプロンプトをAIへ渡します。
https://imoz.jp/humanizer.ja.txt を熟読し、ルールに完全に適合するように隅々まで何度も確認し修正してください
英語の文章には、humanizer.en.txtにまとめた英語版のルールと、次のプロンプトを使います。
Read https://imoz.jp/humanizer.en.txt carefully, then repeatedly review and revise every part until it fully complies with the rules.
リンク先には、説明の重複を減らす、曖昧な評価を具体化する、言い換えても主張の意味や条件を保つ、といった文章の直し方を書いています。「自然な文章にして」とだけ頼むよりも、何を確認し、どう直してほしいかを具体的に伝えられます。
このプロンプトで文章がどう変わるかを見るため、GPT-6.1 Solで日本語と英語の文章を3例ずつ推敲しました。各例に同じ推敲ルールを3回続けて適用し、2回目以降は直前の出力を修正しています。以下では原文と3回目の出力を並べ、説明の重複やつながりがどう変わったかを比べます。修正後の文章は、モデルの出力をそのまま掲載しています。

日本語の修正前後の比較

通貨の価値を説明する文章

元の文章では、信用があるから通貨を使えるという説明が、冒頭と箇条書きの最初の項目で重複しています。
修正前
通貨(お金)が価値を持つ最大の理由は、「みんながそれに価値があると信じ、受け取ってくれるから」です。
主に3つの理由があります。
  1. 信用があるから
    みんなが「1,000円で商品を買える」と信じているため、お金として使えます。
  2. 国が制度を支えているから
    政府や中央銀行が通貨を管理し、税金の支払いなどにも使えるようにしています。
  3. 交換に便利だから
    お金があれば、物々交換をしなくても、商品やサービスを自由に交換できます。
例えば
1万円札は、ただの紙です。紙そのものに1万円の価値はありません。
しかし、社会全体が「この紙で1万円分の買い物ができる」と認めているため、価値を持ちます。
つまり、
通貨の価値 = 社会の信用 + 使える仕組み
ということです。
そして重要なのは、通貨の価値は絶対的なものではなく、人々の信用が失われれば下がるという点です。
修正後(3回適用)
通貨(お金)が価値を持つのは、支払いに使えると人々が信じ、受け取ってくれるからです。
例えば、1万円札の紙そのものに1万円の価値はありません。それでも買い物に使えるのは、受け取った人も、そのお札で別の商品やサービスを買えると信じているからです。
この信用は、政府や中央銀行による通貨の管理や、税金をその通貨で納められる制度に支えられています。
取引のしやすさも、お金が広く使われる理由です。物々交換では、自分の持ち物を欲しがり、こちらが欲しい物を持っている相手を探す必要があります。お金を使えば、物を売る相手と商品やサービスを買う相手を別々に選べます。
通貨への信用が失われると、その価値が下がり、同じ金額で買える商品やサービスの量が減ることがあります。
修正後は、1万円札を受け取る理由から、通貨の管理や納税の制度が信用を支える説明へ進みます。「主に3つの理由があります」という予告や、「通貨の価値 = 社会の信用 + 使える仕組み」というまとめは省かれました。
「交換に便利だから」という理由には、物々交換で相手を探す手間の説明が加わりました。お金を使えば売る相手と買う相手を別々に選べるため、その手間を省けると分かります。末尾では、信用が失われると通貨の価値が下がるという説明を残し、同じ金額で買える量が減ることがあると具体化しています。

会議の進め方を伝える案内文

定例会議を60分から30分に短縮する、架空の社内向け案内文です。
修正前
皆さま
いつも定例会議へのご協力ありがとうございます。
来月より、会議の効率化と意思決定の迅速化を目的として、定例会議の進め方を変更します。
これまで60分としていた会議時間を30分に短縮し、進捗報告を中心とした形式から、相談や意思決定に集中する形式へ切り替えます。
具体的な運用方法は以下のとおりです。
・会議時間: 60分から30分に短縮します。
・進捗共有: 各自、会議の前日までに共有ドキュメントへ記入してください。
・会議で扱う内容: 事前に共有された進捗を踏まえ、相談事項や意思決定が必要な議題を優先します。
・議題の準備: 各議題の担当者は、内容に加えて「会議で決めたいこと」を1行で明記してください。
この運用は、まず1か月間の試行とします。試行期間中に出た課題や皆さまからのご意見を踏まえ、必要に応じて進め方を見直します。
限られた時間を有効に活用し、より実りある会議にしていきたいと考えています。事前準備などでご協力をお願いすることになりますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
修正後(3回適用)
皆さま
いつも定例会議へのご協力ありがとうございます。
来月から、定例会議の時間を60分から30分に短縮します。会議を効率よく進め、意思決定を早めるため、進捗報告を中心とした形式から、相談や意思決定に集中する形式へ切り替えます。
  • 各自、会議の前日までに共有ドキュメントへ進捗を記入してください。
  • 各議題の担当者は、議題の内容に加えて「会議で決めたいこと」を1行で明記してください。
  • 会議では、事前に共有された進捗を踏まえ、相談事項や意思決定が必要な議題を優先して話し合います。
まずは1か月間試行します。試行中に出た課題や皆さまからのご意見を踏まえ、必要に応じて進め方を見直します。
事前準備へのご協力をよろしくお願いいたします。
修正後は、本文と箇条書きに重複していた会議時間の変更を冒頭にまとめています。箇条書きは、事前準備から当日の話し合いへと並べ替えられています。進捗を前日までに記入すること、議題に「会議で決めたいこと」を1行添えること、1か月試行することは変わっていません。
結びの「より実りある会議」や「ご理解とご協力」は、事前準備への協力を求める1文にまとまりました。

キャッシュの仕組みを説明する文章

キャッシュの解説では、ネットショップの商品一覧を例に、表示を速くできる理由と古い情報が表示される条件を説明しています。
修正前
Webアプリケーションのキャッシュとは、一度取得したデータを一時的に保存し、次回以降に再利用する仕組みです。毎回同じデータを取得する必要がなくなるため、画面の表示を速くできます。
例えば、ネットショップの商品一覧ページを考えてみましょう。キャッシュがない場合、ページを開くたびにサーバーがデータベースから商品名や価格、画像などの情報を取得します。一方、キャッシュがあれば、保存済みの商品情報を使えるため、データベースへのアクセスが減り、表示速度が向上します。また、サーバーの負担を軽減する効果もあります。
ただし、キャッシュには注意点があります。商品の価格や在庫数が変更されても、古い情報が保存されていると、実際とは異なる内容が表示される可能性があります。そのため、一定時間が経過したらキャッシュを更新したり、価格や在庫が変更されたタイミングで古いキャッシュを削除したりする工夫が必要です。
キャッシュは、表示速度と情報の正確さのバランスを考えて利用することが大切です。
修正後(3回適用)
Webアプリケーションのキャッシュとは、一度取得したデータを一時的に保存し、次回以降に再利用する仕組みです。毎回同じデータを取得し直さずに済むため、画面の表示を速くできます。
例えば、ネットショップの商品一覧ページでキャッシュを使わない場合、ページを開くたびにサーバーがデータベースから商品名や価格、画像などの情報を取得します。取得した商品情報をキャッシュに保存しておけば、次回以降はその情報を使えます。データベースへのアクセスが減るため、表示が速くなり、サーバーの負担も軽くなります。
ただし、商品の価格や在庫数が変わっても、キャッシュに古い情報が残っていると、変更前の内容が表示されることがあります。そのため、一定時間が経過したらキャッシュを更新したり、価格や在庫数が変わったときに古いキャッシュを削除したりする必要があります。
修正後の商品一覧の例には、取得した商品情報をキャッシュに保存する手順が加わりました。取得から保存、再利用までの流れを順に追えます。「考えてみましょう」や「キャッシュには注意点があります」という前置きも省かれています。
末尾の「表示速度と情報の正確さのバランス」というまとめはなくなり、時間経過や価格・在庫数の変更に合わせた更新・削除の方法で終わっています。

英語の修正前後の比較

通貨の価値を説明する英文

英語の通貨の説明にも、3つの理由を予告し、最後にもう一度まとめる構成が使われています。
修正前
Why does a $10 banknote have value? After all, it is just a piece of paper that costs very little to produce. The answer lies in trust, government support, and usefulness.
First, money has value because people trust it. When you receive a $10 banknote, you believe that someone else will accept it in exchange for goods or services. For example, you can use it to buy lunch because the restaurant owner knows they can spend it elsewhere.
Second, governments and central banks help maintain money's value. Governments recognize money as legal tender, while central banks manage the supply of money and work to keep prices stable. This helps people feel confident that their money will remain useful over time.
Finally, money makes trade much easier. Without money, you might have to exchange something you own directly for food, clothing, or other necessities. Finding someone willing to make that exchange could be difficult.
Ultimately, a $10 banknote has value not because of the paper itself, but because people trust it, institutions support it, and everyone can use it to buy things.
修正後(3回適用)
Why does a $10 banknote have value when it costs so little to produce? People accept it because they trust that others will accept it too. You can use it to buy lunch because the restaurant owner expects to spend it elsewhere.
This shared acceptance makes trade easier. Without money, you might have to find a restaurant owner who wants something you can offer in exchange for a meal. Money lets you sell to one person and buy from another.
Governments and central banks help maintain that trust. Governments recognize currency as legal tender for settling debts, while central banks manage the money supply and work to keep prices stable. Stable prices help people judge what their money will buy over time.
修正後は、10ドル札を昼食代として受け取る店主の例から、物々交換で昼食を手に入れる場合の説明へ進みます。原文の「信用、制度、取引の利便性」という順序を変え、同じ場面で信用と取引のしやすさの関係をたどる構成です。
「First」「Second」「Finally」による列挙と、末尾の「Ultimately」で始まるまとめは省かれました。制度の段落では「legal tender」を残し、債務の支払いに使うという説明を添えています。

会議の進め方を伝える英文メール

英語の会議案内では、変更点ごとに太字のラベルが付き、会議を効率よく進めるという目的が冒頭と結びに繰り返されています。
修正前
Subject: Changes to Recurring Team Meetings – Starting Next Month
Hi Team,
Starting next month, we will be introducing a new format for our recurring team meetings to make them more efficient, focused, and productive.
Here’s what will change:
  • Shorter meetings: All recurring team meetings will be reduced from 60 minutes to 30 minutes.
  • Progress updates in advance: Everyone should record their progress, key updates, and any blockers in our shared document no later than the day before each meeting.
  • Discussion-focused meetings: Rather than spending time on routine status updates, meetings will focus on discussing important issues, resolving blockers, and making decisions.
  • Clear decision points: Each agenda owner should include a one-line statement outlining the specific decision that needs to be made during the meeting.
One-month trial period
We will test this new approach for one month and gather feedback from the team to assess its effectiveness. Based on your input, we may make further adjustments to improve the process.
Our goal is to reduce meeting time while ensuring meaningful collaboration and timely decisions.
Thank you for your cooperation and support in making this change a success!
修正後(3回適用)
Subject: Shorter recurring team meetings starting next month
Hi team,
Starting next month, we’ll run a one-month trial of a new format for all recurring team meetings. The goal is to spend less time in meetings while still working through issues together and making timely decisions.
  • Meetings will last 30 minutes instead of 60.
  • Please record your progress, key updates, and any blockers in our shared document by the day before each meeting.
  • We’ll use meetings to discuss important issues, resolve blockers, and make decisions. Routine status updates will go in the shared document.
  • Each agenda owner should include one line stating the specific decision needed at the meeting.
We’ll gather your feedback to see how well the format works and decide whether to adjust it.
Thanks for your help with the trial.
修正後は、来月から1か月試行することを冒頭で示しています。箇条書きの4項目は残り、「Shorter meetings:」などの太字ラベルは省かれました。進捗を前日までに記入する依頼も、決めたいことを1行で書く依頼も変わっていません。
進捗の記入を求める文は、「Everyone should record」から「Please record」へと、読み手に直接依頼する表現に変わりました。意見をもとに進め方を見直すかどうか決める説明は1文にまとまり、結びも「Thanks for your help with the trial.」と短くなっています。

キャッシュの仕組みを説明する英文

英語のキャッシュの解説には、50ドルから40ドルへの値下げと、売り切れになった商品の例が含まれています。
修正前
Web application caching is a technique used to make websites load faster by temporarily storing frequently requested data. Instead of fetching the same information from a database every time, a web application can reuse previously stored data, called a cache.
For example, imagine an online store displaying a product listing page with product names, images, prices, and stock levels. Without caching, the server must query the database whenever a customer visits the page. With caching, the server can quickly retrieve stored product information, reducing database requests and improving page loading speed.
Caching also reduces server load, allowing the website to handle more visitors efficiently, especially during busy shopping periods.
However, cached information can become outdated. For example, if a product's price changes from $50 to $40, customers might still see the old price. Similarly, a sold-out product might incorrectly appear available.
To prevent this, developers use cache invalidation, which means updating or deleting outdated cached data. When product prices or stock levels change, the application can refresh the relevant cache entries or remove them so that the next request retrieves updated information.
This keeps the website fast while ensuring customers receive accurate product details.
修正後(3回適用)
Caching can help web applications load pages faster by reusing frequently requested data. The application keeps copies in a cache, where it can retrieve them without querying the database each time.
For example, an online store’s product listing page might display product names, images, prices, and stock levels. Without caching, the server queries the database for that information whenever a customer visits the page. With caching, it can store the results and reuse them for later visits. This reduces database work and can help the store handle more visitors during busy shopping periods.
Cached information can become outdated when the underlying data changes. If a product’s price drops from $50 to $40, customers might still see the old price. A sold-out product might also appear available if the cache still holds its previous stock level.
When prices or stock levels change, the application can update the affected cache entries or invalidate them by removing them. For example, it can replace the cached $50 price with $40. If it removes the price entry instead, the application must fetch the current price from the database the next time that price is requested. It can then cache the result for later requests.
修正後も、50ドルから40ドルへの値下げと、売り切れ商品の例が残っています。在庫の例には、キャッシュに以前の在庫数が残っているため、在庫があるように表示されるという説明が加わりました。
最後の段落では値下げの例を引き継ぎ、保存した価格を更新する場合と削除する場合を分けて説明しています。削除した場合は、次に価格が要求されたときに、アプリケーションがデータベースから現在の価格を取得します。その価格を再びキャッシュに保存できることも補足されています。

おわりに

今回の比較では、日本語・英語ともに、説明の重複や定型的な前置きが減りました。通貨の例では物々交換で相手を探す手間が、キャッシュの例では情報を保存する手順や、削除後に取得し直す手順が補われています。理由や手順をたどりやすくする修正に、このプロンプトを使えました。
そのうえで、どこを詳しく書き、何を省くかを決めるには、「これを伝えたい」という書き手の思いも必要だと思います。AIに任せると、関連する話題をひととおり無難に扱い、どこも同じ調子の文章になりがちです。
このプロンプトでも、書き手の思いまでは補えません。「この方法で何が楽になるのかを伝えたい」「この欠点だけは知ってほしい」といった思いや、その理由も文章と一緒にAIへ渡してみてください。